第二話:家族世帯向けの短編ストーリー


昔から私の娘は⽜乳が⼤嫌いだ。


給⾷で出る⽜乳は絶対に残してくるし、家でも基本的には飲まない。

嫌いなら飲まなくてもいいとは思うのだが、親として娘の健康を考えると、

好き嫌いはしないで欲しいという思いもある。

斯くいう私も⼦供のころは⽜乳嫌いだった。1 滴も飲めないぐらい嫌いだった。

それこそ娘と⼀緒で、給⾷で出された⽜乳は毎回残していて、

クラスの男⼦がそれを取り合っていた。

娘は私の⽜乳嫌いをきちんと受け継いでいるのだ。

私の⽜乳嫌いがなくなったのは、⺟のおかげだ。

⼦どもの頃、夜ご飯を⾷べて学校の宿題をやっているときに

「これ飲んでみて」

と⾔って作ってくれたのがホットミルクだった。

「⽜乳!? 無理だよ」

「いいから飲んでみて!」

嫌いなのを知っていて、わざわざ⽜乳を渡してくるなんてたちの悪い親だと思った。

ただいつもより強めに勧めてくるので、⾔われた通り、恐る恐る飲んでみた。

「あれ? ⽢い! おいしい!」

「そうでしょ!」

無理くり渡されて飲んだ⽜乳はいつもより⽢く、飲んだ瞬間ホッとした。

⽜乳嫌いの私にも飲めるようにと、⺟はたっぷりのハチミツを⼊れてくれていたようだった。

これは⼤⼈になってから知ったのだが、ハチミツは栄養価も⾼く、

⾷べる美容液と⾔われるほど美肌効果もあるらしい。

⺟は私の健康を気遣って、さらには美容にまで効果のあるものを選んで、

ハチミツ⼊りのホットミルクを作ってくれていた。

⺟が作ってくれたホットミルクには私に対する優しさがたっぷりと込められていた。

私にとっての昔ながらの味。⽢くて優しい、⾃然の味。

この味も、娘に受け継いでもらうとしよう。

きっと気に⼊ってくれるに違いないと、こっそり確信している。

⺟親のカンというやつだ。